筋肉は、動かすためだけの器官ではない

「肝は筋」という、古い言葉

筋肉と聞くと、体を動かすためのもの、というイメージがあると思います。 

力を出す、姿勢を保つ、歩く、持ち上げる。

たしかに、その通りです。

けれど、筋肉の質が落ちたときに影響が出るのは、動きだけではありません。 

一見、筋肉とは関係なさそうなところにまで、静かに及んでいきます。

前回まで、揉んでも戻る理由や、「柔らかい」と「緩んだ」の違いをお話ししてきました。 

今回は少し視野を広げて、筋肉が体の中でどれだけ多くのことに関わっているか、というお話をします。

痛みは、そう何種類もない

まず、痛みの話から入らせてください。

痛みというと複雑に思えますが、大きく分ければ、そう何種類もありません。 

表面の痛み、深いところの痛み、内臓からの痛み、そして心から来る痛み。 

おおまかには、この四つくらいで考えておけば十分です。

皮膚を切った、ぶつけた、というのは表面の痛み。 

食べすぎて胃が痛い、お腹をこわした、というのは内臓の痛み。 

筋肉が切れた、骨が折れた、というのは深いところの痛みです。

では、どこも切れていない、折れてもいない、出血もしていない。 

それなのに痛い、というときはどうでしょう。

このとき残るのは、血液のめぐりが悪いことから来る痛みです。

血液がうまく流れないと、体はその血管を広げようとして、ある種の物質を出します。 

その物質が、今度は痛みの信号のもとになります。 

神経がそれを受け取り、脳へ「痛い」と伝える。

つまり、はっきりした怪我がないのに痛むとき、その多くは、めぐりの悪さが関わっています。 

そして、そのめぐりを悪くしている大きな原因のひとつが、筋肉や筋膜にできた癒着なのです。

痛みを、むやみに怖がる必要はありません。 

どこから来ている信号なのかがわかれば、落ち着いて向き合えます。

めぐりが戻ると、体はいろいろ変わりはじめる

筋肉の質が戻って、めぐりがよくなってくると、体には思いがけないところまで変化が現れます。 

これは私の経験や実感だけでなく、さまざまな研究で報告されていることです。

たとえば、免疫に関わる血液の成分。 

自律神経のはたらき。 

肝臓のはたらき。 

血液の中の脂質の状態。

これらと筋肉の質とのあいだには、関連があることがわかってきています。 

筋肉を、ただ動かすための器官だと思っていると、この広がりは見えてきません。

もう少し、具体的にお話しします。

交感神経が落ち着かないと、休めない

自律神経には、活動を支える交感神経と、休息を支える副交感神経があります。

「リラックスが大事」とよく言われるので、副交感神経ばかりが注目されがちです。 

けれど、人が日中しっかり活動できているのは、交感神経がはたらいているからです。 

土台にあるのは、こちらのほうです。

そして、この土台がぐらついていると、いくら「休もう」としても、うまく休めません。 

交感神経が落ち着いて安定してはじめて、副交感神経とのバランスが取れる。 

そういう順番になっています。

筋肉の状態は、この交感神経と深く関わっています。 

筋肉の質が戻ってくると、交感神経のはたらきが落ち着き、結果として、休息のほうもうまくいくようになる。 

「休めない」という悩みの奥に、筋肉の問題が隠れていることは、めずらしくありません。

「肝は筋」という、古い言葉

もうひとつ、興味深い話をさせてください。

東洋医学には、五臓それぞれに対応するものを並べた考え方があります。 

そのなかで、肝臓に対応するものとして挙げられているのが、「筋」です。 

「肝は筋を主る(つかさどる)」と言われます。

肝臓は、体に入ってくるさまざまなものを解毒する臓器です。 

そして、肝臓のはたらきと筋肉の質とのあいだにも、関連があることが見えてきています。 

薬の副作用が出やすい、出にくいといった差にも、このあたりが関わってきます。

興味深いのは、背骨のツボの名前です。 

肝臓と関わりの深いあたりに、「肝兪(かんゆ)」というツボがあり、そのすぐ隣には「筋縮(きんしゅく)」という、筋の縮みを表す名前のツボがあります。

科学的な測定など、何もなかった何千年も前に、肝臓と筋肉のつながりを、人はすでに名前として書き残していたことになります。 

現代の研究がそこへ、あとから追いついてきた。 私は、この符合にいつも驚かされます。

「年のせい」で終わらせない

年を重ねると、怪我が治りにくくなります。 

これを「もう年だから」で片づけてしまいがちですが、それだけではありません。

年月とともに、体に無理を重ね、筋肉の質を落としてきた。 

その積み重ねが、治りの悪さや、めぐりの悪さとして表れている面が、たしかにあります。

年齢は、たしかに誰にも平等に訪れます。 

けれど、体の不調のすべてが、年齢だけで決まっているわけではありません。 

質を戻していける部分は、いくつになっても残っています。

筋肉は、動かすためだけのものではない。 

体じゅうに広がって、さまざまなはたらきと連携している。 

だからこそ、ここを整えることには、思っている以上の意味があるのです。

「年のせい」「体質だから」で片づけてきた不調こそ、一度、体の状態そのものを見せてください。 

どこから来ている不調なのか。触れて、確かめていきます。

ご予約・ご相談は、お気軽にどうぞ。

次回は、「症状が消えることと、体が良くなることは違う」というお話をします。

のむら整骨院 院長 

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“病院医学”では紐解けない
痛みの正体を調律する『特別な整骨院』

完全予約制|受付 10:00〜17:00(最終受付)|お電話は18:00頃まで(留守電OK・折り返します)

院長経歴

検査で「異常なし」でも、つらさは本物
自律神経の乱れを

体の反応から読み解く整骨院

院長 野村晃生(のむら あきお)
柔道整復師/臨床歴20年以上

自律神経のはたらきを軸に、
身体が安心できる『整える施術』を大切にしています。