寝ても疲れが取れない・冷える・むくむ ― 体の“燃える力”が落ちているサイン

その疲れ、冷えていませんか

「しっかり寝たはずなのに、朝から体が重い」。

院でお話を伺っていると、こうした声をよく耳にします。

疲れが抜けないだけでなく、手足がいつも冷たい、夕方になると脚がむくむ、という方も少なくありません。

一つひとつは小さな不調でも、重なると毎日がしんどくなります。

私はこうした不調の重なりを、体の中で「燃える力」が落ちているサインの一つとして捉えています。

この記事では、その仕組みと、日常でできる整え方についてお話しします。

食べたものが「熱」と「力」に変わるしくみ

私たちの体は、食べたものを細胞の中で燃やして、動くための力と体温を生み出しています。

この働きを担っているのが、細胞の中にある「ミトコンドリア」という小さな器官です。

ミトコンドリアがしっかり働くためには、いくつかの条件がそろう必要があります。

呼吸で取り込む酸素、食事からとる糖などの栄養、そして代謝のペースを整える甲状腺ホルモンです。

甲状腺ホルモンは、いわば体のかまどの「火加減」を決める存在です。

火加減が強すぎても弱すぎても、体はうまく回りません。

燃やしたあとには熱と二酸化炭素が生まれます。熱は体温を保ち、二酸化炭素は血液中の酸素を細胞へ渡しやすくする役割も持っています。

体は、燃えることそのものによって、次に燃えるための準備を整えているのです。

ですから私は、体温や手足の温かさを、体の燃える力を知る一つの目安だと考えています。

燃える力が落ちたときに出やすいサイン

燃える力が落ちると、体は熱も力も十分に作れなくなります。

すると、次のような変化が少しずつ重なって現れることがあります。

  • 休んでも疲れが抜けず、日中も眠気が続く
  • 寒さに弱く、手足がいつも冷たい
  • むくみやすく、食事量は変わらないのに体重が増える
  • 便秘がちになる
  • 髪がパサつく、抜けやすくなる、眉が薄くなる
  • 声がかすれやすくなる
  • 物忘れが増え、集中が続かない
  • 気分が沈み、意欲がわきにくい
  • 筋肉や関節がこわばる、足がつりやすい
  • 脈がゆっくりで、少し動くと息が切れる
  • 月経の周期や量が乱れる
  • 健診でコレステロールが高めと言われる

どれか一つがあるからといって、すぐに何かの病気というわけではありません。

ただ、いくつも重なっている場合は、体の火加減を調整する力そのものが弱まっている可能性があります。

特に、これらは甲状腺の働きが落ちたときによく見られる変化と重なります。

その点については、後ほど改めてお伝えします。

なぜ燃える力は落ちるのか

燃える力が落ちる背景には、さまざまなものがあります。

ここでは、日常の中で私がよく目にするものを三つ挙げます。

極端な食事制限

「やせたい」「体に良いことをしたい」という思いから、食事を大きく減らしたり、糖質をほとんどとらない生活を続けたりする方がいます。

短い期間なら問題が出ないこともあります。

ただ、体は「入ってくる燃料が少ない」と感じると、火を弱めてエネルギーを節約しようとします。

実際、厳しい食事制限が続くと甲状腺ホルモンの働きが控えめになることが知られています。

頑張って続けているのに、痩せるどころか、体調が良くなるどころか、かえって冷えや疲れが強くなる。

そうした方は、体が省エネに切り替わっているのかもしれません。

睡眠不足

眠っている間、体はただ休んでいるわけではありません。

昼間に使った筋肉や組織を修復し、消耗したものを補い、次の日にまた燃えるための準備を静かに進めています。

火にたとえるなら、睡眠は薪をくべ直し、かまどの灰をかき出す時間です。

この時間が短かったり浅かったりすると、翌日の火は勢いを取り戻せないまま、くすぶった状態で一日が始まります。

一晩の寝不足なら、体は何とか取り返してくれます。

けれども、寝不足が当たり前の毎日になると、その日のうちに回復しきれなかった疲れが翌日へ、さらにその次の日へと持ち越され、少しずつ積み重なっていきます。

「寝ても疲れが取れない」と感じるとき、実は眠りの量だけでなく、眠りの深さが足りていないことも少なくありません。

寝る直前までスマートフォンを見ている、夜遅くまで頭が仕事のことでいっぱいになっている。

そうした状態では、体は布団に入っても休む側に切り替わりきれず、浅い眠りのまま朝を迎えてしまいます。

眠りの浅さが、翌日の糖の処理にまで関わることを示した研究は、「血糖値は、食べたものだけで決まらない」で紹介しています。

張りつめた状態が続くこと

仕事の締め切り、家族の心配、人間関係の気づかい。

気の休まらない状態が続くと、体はいつ何が起きてもすぐ動けるように、ずっと身構えたままになります。

身構えているとき、体は「守り」のほうに力を回しています。

肩や首に力が入り、呼吸は浅く速くなり、胃腸の働きは後回しにされます。本来なら回復に使われるはずの力が、警戒し続けることに使われてしまうのです。

一時的な緊張であれば、体はやがて元の状態に戻ります。

けれども張りつめた状態が何週間、何か月と続くと、緊張と休息を切り替える自律神経のスイッチそのものが、うまく働かなくなっていきます。

こうなると、休日にゆっくりしていても体の奥がゆるまない、布団に入っても頭が冴えて眠れない、といったことが起こりやすくなります。

休んでいるつもりでも体は休めておらず、燃える力を立て直す余裕が生まれにくくなるのです。

本人は「気持ちの問題」と思っていても、体の側では、火を灯すための力がじわじわと削られていることがあります。

日常でできる、燃える力の整え方

燃える力を取り戻すために、特別なことをする必要はありません。

大切なのは、体が安心して火を灯せる環境を整えることだと私は考えています。

食事を極端に抜かない

食事の回数や量は、人によって合う形が違います。実は私自身、一日一食で過ごしていて、それで十分に体が回っています。

ですから「三食きちんと食べなければいけない」とは考えていません。

大切なのは、回数よりも、食べたときに体がちゃんと満たされているかどうかです。

我慢で無理に食べる量を抑え込んだり、「糖質は悪」と決めつけて特定のものを一切とらなかったりすると、体は燃料不足を感じて火を弱めてしまいます。

自分にとってちょうどいい食べ方は、食べたあとの体が教えてくれます。

食後に体が温かく、気持ちが落ち着いているなら、それがあなたに合った形なのだと思います。

加工度の高い食品を減らす

菓子パンやスナック菓子、清涼飲料水などの加工度の高い食品は、手軽な一方で、栄養のかたよりにつながりやすいものです。

できる範囲で、素材の形が分かる食事に置き換えていくのがおすすめです。

温める習慣をつくる

冷えを感じる方は、外から温めることも助けになります。

湯船につかる、足湯をするなど、体の芯がゆるむ時間をつくってみてください。

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休むことを自分に許す

疲れているときほど、「もっと頑張らなければ」と思いがちです。けれども、体の火を育てるのは、頑張ることよりも、しっかり休むことのほうです。

早めに布団に入る日を、意識してつくってみてください。

大切にしてほしいこと

先ほどのサインがいくつも当てはまり、しかも長く続いている場合は、まず内科で血液検査を受けてみてください。

甲状腺の働きは、TSHやFT4といった項目で調べることができます。

甲状腺の働きが落ちる病気は珍しいものではなく、特に女性に多いとされています。

検査で分かれば、適切な治療で楽になることも多いものです。「年齢のせい」「気のせい」と片づけずに、一度確かめておくことをおすすめします。

貧血が気になる方も同じです。

自己判断で鉄のサプリメントを飲み続けるのではなく、検査で原因を確かめてから対処するほうが安心です。

そのうえで、検査で大きな異常がないのに不調が続く。

そういうときこそ、当院がお役に立てる場面だと考えています。

体のこわばりや緊張がゆるみ、呼吸が深くなると、体は自然と回復のほうへ向かいやすくなります。

私は施術を通して、体がもう一度自分の火を灯せるよう、その土台を整えるお手伝いをしています。

最後に

疲れや冷え、むくみは、体が「少し火が弱まっているよ」と知らせてくれている声なのかもしれません。

その声に気づいて、食べること、温めること、休むことを見直すだけでも、体は少しずつ応えてくれます。

一人で整えるのが難しいと感じたら、どうぞお気軽にご相談ください。

あなたの体が本来の温かさを取り戻せるよう、一緒に向き合っていきます。

のむら整骨院 院長 野村晃生

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検査で「異常なし」でも、つらさは本物
自律神経の乱れを

体の反応から読み解く整骨院

院長 野村晃生(のむら あきお)
柔道整復師/臨床歴20年以上

自律神経のはたらきを軸に、
身体が安心できる『整える施術』を大切にしています。