あなたの体は、電気で動いている
私たちの体には、もともと、自分で回復する力が備わっています。
指を切っても、放っておけば傷はふさがります。
風邪をひいても、多くは寝ていれば治っていきます。
骨が折れても、体はそれをつなごうとします。
治しているのは、薬でも、施術でもありません。
体そのものが持つ、回復力です。
本来、私たちはこの力で、日々、自分を立て直しながら生きています。
ところが、その回復力が、うまく働かなくなることがあります。
眠っても疲れが抜けない。
不調がずるずると長引く。
自律神経が乱れて、休んでも休まらない。
体が、自分で自分を戻す力を、発揮しきれていない状態です。
なぜ、回復力は働かなくなるのか。
長年、多くの体に触れてきて、私がひとつの答えとして捉えているのが、体の「帯電」です。
今日は、この帯電というものについて、私の考えを、お話ししたいと思います。
まず、正直にお断りしておきます
これからお話しすることは、私自身が長年、体に触れてきて得た観察であり、考えです。
いまの医学で証明された定説ではありません。
けれど私は、医学の検査精度がもっと上がっていけば、いつか裏づけられていくものだと思っています。
ですから、どうか「一人の施術者が、体に触れ続けてたどりついた見方」として、読んでみてください。
そのうえで、ご自身の体に照らして、腑に落ちるところがあれば、受け取っていただければと思います。
体は、電気で動いている
そもそもの土台から、お話しします。
私たちの体は、電気で動いています。
これは、私の考えではなく、はっきりとした事実です。
心臓が打つのも、電気信号によるものです。
だからこそ、心電図で、その電気を波形として記録することができます。
脳のはたらきも同じで、脳波として電気を測っています。
神経が信号を伝えるのも、筋肉が縮むのも、すべて電気的な活動です。
つまり、私たちは、微弱な電気で全身を動かしている、電気仕掛けの体だとも言えます。
この「電気で動いている」という事実を土台に置くと、体を見る目が、少し変わってきます。
電気で動いているなら、その電気が、うまく流れているか、たまっていないか、という視点が生まれるからです。
私は、まさにここに、回復力の鍵があると考えています。
帯電とは、私が体に感じているもの
めぐりがよく、質のよい体では、生体の電気は、たまることなく、うまく流れ、抜けていきます。
使われた電気は、滞りなく流れ、外へ逃げていく。
これが、本来の状態です。
ところが、筋肉の質が落ち、こわばり、めぐりが滞ってくると、どうなるか。
私は、その電気がうまく抜けずに、体の中にたまっていくように感じています。
これが、私の言う「帯電」です。
言葉で説明するより、実際に触れたときの手触りをお伝えするほうが、伝わるかもしれません。
帯電している体に触れると、指先に、独特の感触があります。
「ビリビリ」としたもの。
「チリチリ」としたもの。
あるいは、「わちゃわちゃ」と、ざわついたもの。
ビリビリ、チリチリは、比較的、狭い範囲に、鋭く感じられます。
局所に、電気がたまっているような感触です。
わちゃわちゃは、もっと広い範囲に、ざわざわと落ち着かない感じで広がっています。
これは特に、神経系が騒がしいときの感触です。
交感神経と副交感神経が、うまく切り替わらず、せめぎ合っているような。
自律神経が乱れている方の体に、私はよく、この「わちゃわちゃ」を感じます。
帯電は、体のいろいろなところに溜まります。
筋肉、神経、心臓、内臓、骨。
局所にぎゅっと溜まることもあれば、広い範囲に、ぼんやりと帯電していることもあります。
なぜ、電気は抜けないのか ── アースの話
ここで、少し身近な喩えをさせてください。
電気製品には、「アース」がついているものがあります。
洗濯機や電子レンジの、あの緑色や黄色の線です。
あれは、万が一たまってしまった余計な電気を、大地へ逃がすためのものです。
電気を、地面に「抜く」ための仕組みです。
私は、人間の体にも、同じことが言えると考えています。
体にたまった余計な電気は、本来、大地へ抜けていきたがっています。
けれど、いまの私たちの暮らしは、その抜け道を、ずいぶんふさいでしまっています。
一日じゅう、ゴム底の靴を履き、コンクリートやアスファルトの上を歩く。
家の中では、フローリングやカーペットの上で過ごす。
大地と、じかに触れる時間が、ほとんどありません。
抜け道がふさがれれば、電気は抜けずに、たまっていく。
帯電するということは、抜けないということ。
私は、そう捉えています。
では、どうすれば抜けるのか。
私が大切にしているのは、大きく三つの道です。
一つめ ── 接地する(アーシング)
もっとも素直なのは、大地と、じかにつながることです。
アーシング、とも呼ばれます。
いちばんいいのは、土です。
公園の地面でも、庭でもかまいません。
靴を脱いで、裸足で、じかに大地に立つ。
それだけで、抜け道が開きます。
ただ、正直に申し上げると、最近の公園は、人工的に整えられたものが多く、土そのものの力は、少し弱いように感じます。
それでも、しないよりは、ずっといい。
理想を言えば、砂浜です。
海辺の砂に、裸足で、しばらく立ってみてください。
海の水を含んだ砂は、電気をよく通します。
大地と海の両方に、いちどにつながるようなものです。
二つめ ── 自然に触れる
大地だけでなく、生きている自然に触れることも、抜け道になると、私は感じています。
木に触れる。
森を歩き、幹に手を当ててみる。
大きな木は、それ自体が、深く大地に根を張った、大きなアースのようなものです。
家の中でしたら、観葉植物に触れるのもいいと思います。
生きた植物のそばで過ごし、その葉や幹に、そっと触れる。
ささやかですが、暮らしの中に取り入れやすい方法です。
三つめ ── めぐりと、水
三つめは、めぐりです。
体の中のめぐり、とりわけ、脳脊髄液の質やその循環は、帯電と深く関わっていると、私は考えています。
体液がよくめぐっている体は、電気もまた、よく流れます。
そして、めぐりを助けてくれるのが、水です。
いちばんいいのは、海に入ることです。
海水は電気をよく通し、大地とつながる砂浜の効果とも重なります。
体ごと、大きなめぐりの中に入るようなものです。
日常では、お風呂にゆっくり浸かることをおすすめします。
できれば、家の湯船より、銭湯のような大きなお風呂や、温泉がいい。
たっぷりの湯に、体をあずける時間が、めぐりを助けます。
ひとつ、正直なところをお伝えすると、塩素などで人工的に消毒された水は、その働きが少し弱まるように感じます。
プールや、消毒の効いたお風呂です。
けれど、これも同じで、しないよりは、ずっといい。
神経質になりすぎず、できる範囲で取り入れてください。
帯電と、回復力と、自律神経
ここまでの話を、回復力に結びつけます。
電気がたまり、抜けない体。
その状態が続くと、体は、本来もっているはずの回復力を、うまく発揮できなくなっていくのではないか。
私は、そう捉えています。
はじめにお話ししたとおり、体には、自分で戻る力が備わっています。
けれど、その力がのびのびと働くには、体の中の電気が、滞りなくめぐり、きちんと抜けていることが必要なのだと思います。
帯電は、その流れをせき止めてしまう。
そして、自律神経です。
先ほど、わちゃわちゃとした帯電は、神経系が騒がしいときの感触だとお話ししました。
交感神経と副交感神経が、うまく切り替わらず、せめぎ合っている状態。
自律神経の不調で、眠れない、休まらない、と訴える方の体に、私はしばしば、この帯電を感じます。
神経そのものが乱れているというより、その神経が、抜けない電気の中で、ざわつかされているような。
だとすれば、整えるべきは、神経に直接働きかけることではなく、たまった電気を抜き、めぐりを取り戻すことのほうです。
では、どこから始めるか
帯電を抜くには、順番があります。
裸足で大地に立つ。
木に触れる。湯に浸かる。
これらは、どれも大切な、日々の抜け道です。
けれど、そもそも体のめぐりが滞り、筋肉がこわばって電気をため込みやすくなっているなら、まず、その土台のほうを戻していくことが先になります。
筋肉の質と、めぐりと、自律神経のつながりについては、別の記事で詳しくお話ししています。

あわせて読んでいただくと、この帯電の話が、より立体的に見えてくると思います。
体は、電気で動いている。
その電気が、きちんとめぐり、抜けていく。
そうやって滞りがほどけたとき、体は、もともと備えていた回復力を、また働かせはじめます。
回復力は、どこかから与えてもらうものではありません。
もともと、あなたの中にあるものです。
それを、また働けるようにしてあげる。
私が体に触れながら考えているのは、いつも、そのことです。
眠っても疲れが抜けない、休んでも休まらない。
その奥で、体が電気をため込んでいるのかもしれません。
一度、いまの体の状態そのものを、診せてください。
どこがこわばり、どこに帯電しているのか。
触れて、確かめていきます。
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院長 野村晃生(のむら あきお)
柔道整復師/臨床歴20年以上
自律神経のはたらきを軸に、
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