「体から整える」
という考え方
自律神経が乱れている、とよく言われます。
けれど、その「自律神経」に、私たちは直接、触れることができません。
では、どこから整えればいいのでしょうか。
眠れない。
理由もなく、だるい。
ときどき動悸がする。
気持ちが休まらない。
病院で検査を受けても、はっきりした異常は見つからず、「ストレスでしょう」「自律神経の乱れですね」と言われて終わる。
そういう行き止まりに、心当たりのある方は少なくないと思います。
自律神経は、意識で動かせるものではありません。
「落ち着け」と念じても、心臓の鼓動はゆっくりになってはくれません。
だからこそ、多くの方が、どこに手をつけていいかわからないまま、もどかしさを抱えています。
私は、整骨院で日々、ヒトの体に触れています。
その立場から見えてくる自律神経の姿は、世間で語られているものと、少し違います。
今日は、「筋肉の質」という角度から、自律神経のお話をさせてください。
交感神経と副交感神経、どちらが土台か
自律神経には、二つの側面があります。
活動を支える交感神経と、休息を支える副交感神経です。
世間では「リラックスが大事」「副交感神経を優位に」とよく言われます。
そのため、副交感神経のほうばかりが注目されがちです。
けれど、順番として土台にあるのは、交感神経のほうです。
人が日中しっかり活動できているのは、交感神経がはたらいているからです。
仮に副交感神経ばかりが優位になれば、一日じゅうぼんやりとして、まともに動けなくなってしまいます。
活動あっての休息であって、その逆ではありません。
ここに、ひとつの落とし穴があります。
交感神経という土台がぐらついていると、いくら「休もう」「リラックスしよう」としても、うまく休めないのです。
交感神経が落ち着いて、安定してはじめて、副交感神経とのバランスが取れる。
そういう順番になっています。
「眠ろうとしても眠れない」「休んでいるのに休まらない」。
その奥には、副交感神経を高める以前に、交感神経の土台が乱れている、という問題が隠れていることが多いのです。
では、その土台は、どうして乱れるのでしょうか。
そして、どうすれば落ち着くのでしょうか。
ここで、筋肉が関わってきます。
筋肉の質が、交感神経とつながっている
筋肉と自律神経は、一見、遠いもののように思えます。
けれど、実際には深く関わっています。
まず、筋肉の「質」について、少しお話しさせてください。
何も問題のない筋肉は、本来とても柔らかいものです。
赤ちゃんの体を思い浮かべてください。
ぷにぷにと柔らかいのに、抱き上げるとどこかしっかりしている。
柔らかさの中に、張りがある。これが本来の状態です。
ところが、私たちの体は、長年の疲れや無理の中で、この質を少しずつ落としていきます。
筋肉の線維は、日常のなかで小さく傷つき、修復を繰り返しています。
その修復が追いつかないほど繰り返されると、組織どうしがくっついた「癒着」が積み重なっていきます。
硬く、こわばり、ねばついたような筋肉。
これが、質の落ちた状態です。
この質の低下が、交感神経の乱れと結びついています。
私の実感として、筋肉の質を戻していくと、交感神経のはたらきが落ち着いてきます。
すると土台が安定するので、結果として、休息をつかさどる副交感神経のほうもうまく働くようになる。
「休めない」という悩みが、体のほうからほどけていくのです。
自律神経を、神経の側からだけ見ていると、この道筋は見えてきません。
けれど、筋肉という土台から見ると、手のつけどころが、はっきりとしてきます。
体は、電気で動いている
もうひとつ、私が体に触れながら感じていることを、お話しさせてください。
人間の体は、微弱な電気で動いています。
心臓が打つのも、神経が信号を伝えるのも、筋肉が縮むのも、すべて電気的な活動です。
これは、よく知られた事実です。
私は、この「電気」という視点から、自律神経の不調を捉えています。
めぐりがよく、質のよい体では、この生体の電気は、たまることなく、うまく流れ、抜けていきます。
ところが、筋肉の質が落ち、めぐりが滞ってくると、私は、その電気がうまく抜けずに、体にたまっていくように感じています。
たまって、抜けない。
その状態が続くと、体は本来持っているはずの回復力を、うまく発揮できなくなっていくのではないか。
長年、多くの体に触れてきて、私はそう捉えるようになりました。
これはあくまで、私自身の観察であり、見立てです。
けれど、自律神経が不安定な方の体には、このこわばりと、抜けなさのようなものを、たびたび感じます。
このあたりの「帯電」という考え方については、また別の記事で、詳しくお話ししたいと思います。

いずれにしても、大切なのは順番です。
たまった電気を抜くにも、まず、めぐりの滞り、つまり筋肉の質のほうを戻していくことが先になります。
血が足りないと、整えても受けとめられない
自律神経の不調を訴える方には、もうひとつ、共通してみられる土台の問題があります。
体液や血液の、絶対量が少ないのです。
血の量が少ないと、体はぎりぎりのやりくりで回っています。
そういう体で、急にめぐりを取り戻そうとすると、こんどは血の量そのものが足りなくなり、かえってだるくなったり、ぼんやりしたりすることがあります。
めぐらせる中身が、そもそも足りていないのです。
そして、血の量が少ない方は、たいていミネラルが不足しています。
ですから私は、施術と並んで、土台のほうもお願いすることがあります。
質のよいミネラルや、天然の塩を、ふだんの食事でしっかりとっていただく。
血の量が増えてこそ、めぐりを戻したときに、体がそれを受けとめられるからです。
自律神経を整えるために、と、さまざまなサプリメントや健康法を試してこられた方も多いと思います。
けれど、その前に、めぐらせる血の量そのものが足りているか。
土台のほうを、一度ふりかえってみる価値があります。
「整える」は、神経に直接さわることではない
世の中には、自律神経を整えるための方法が、たくさんあります。
呼吸法、自律訓練法、ゆるやかなマッサージ、さまざまなリラックス法。
どれも、入口としては悪くありません。
呼吸を通して整えていくのも、たしかに一つの道です。
ただ、これらの多くは、神経や心に、直接はたらきかけようとするものです。
そして、土台にある筋肉の質や、血の量が細いままだと、その効果は続かず、また元に戻ってしまいます。
冒頭で、こう書きました。
自律神経に、私たちは直接、触れることができない、と。
だからこそ、神経だけを追いかけるのではなく、体そのものを整えていく。
筋肉の質を戻し、めぐりを取り戻し、血の量という土台を養う。
そうやって体が整ってくると、自律神経は、結果として、自然に落ち着いてきます。
神経を目的地にするのではなく、体を整えた先に、神経の安定がついてくる。
この順番の逆転こそが、私が長く体に触れてきて、たどりついた考え方です。
眠れない、だるい、休まらない。
その不調を「気持ちの問題」で片づけてしまう前に、一度、ご自身の体そのものに目を向けてみてください。
手のつけどころは、心の中だけではなく、体のほうにあるかもしれません。
「自律神経の乱れ」と言われ、どこから手をつけていいかわからずにこられた方こそ、一度、体の状態そのものを診させてください。
どこがこわばり、どこから整えていけばいいのか。
触れることで、確かめていきます。
ご予約・ご相談は、お気軽にどうぞ。
のむら整骨院 院長 ![]()
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検査で「異常なし」でも、つらさは本物
自律神経の乱れを
体の反応から読み解く整骨院

院長 野村晃生(のむら あきお)
柔道整復師/臨床歴20年以上
自律神経のはたらきを軸に、
身体が安心できる『整える施術』を大切にしています。





