全体を整えるという考え方
痛みが消えた。
だから、良くなった。
ふつうは、そう考えます。
けれど、この二つは、いつも同じとはかぎりません。
症状が消えても、体はよくなっていない、ということが起こり得ます。
今日は、その話をさせてください。
これまで三回にわたって、揉んでも戻る理由、「柔らかい」と「緩んだ」の違い、そして筋肉が全身に関わっていることをお話ししてきました。
最終回となる今回は、少し視点を引いて、「良くなる」とはどういうことか、を考えてみたいと思います。
症状だけを消すことは、できてしまう
ずいぶん前のことですが、こんな話を聞いたことがあります。
頭痛や、心の不調に悩む方を入院させ、首にたくさんの鍼を打ち、そこに電気を流し続ける。
そういう治療をしている医療機関があったそうです。
驚くことに、その改善率は、通常の治療よりもかなり高かったといいます。
からくりは、こういうことだろうと思います。
首まわりを強く刺激し続けると、筋肉は張りを失い、フニャと緩みます。
すると、それまで詰まっていた血管がいっせいに解放され、頭のほうへ、勢いよく血がめぐる。
たまっていたものが、一気に流れていく。
そのため、他のどんな治療でも取れなかった症状が、すっと消えてしまう。
けれど、前回まででお話ししてきたことを思い出してください。
張りを失った緩みは、良い状態ではありませんでした。
症状は消えても、体そのものは、けっして良くなってはいないのです。
その後、その方たちの体がどうなったのかは、わかりません。
けれど、あれだけ緩ませてしまえば、いずれ別のところに無理が出るのではないか。
当時、話を聞きながら、そんなふうに感じていました。
木を見て、森を見ない
一つの症状だけに目を向けて、そこを黙らせる。
たしかに、それで目の前の困りごとは消えます。
けれど、体はすべてがつながっています。
どこか一か所を強引に変えれば、そのしわ寄せは、必ず別のどこかに向かいます。
木を見て、森を見ず。
症状を消すことだけを目的にすると、これが起こります。
もちろん、つらい症状が消えることには、大きな意味があります。
それで人生が変わる方もいます。
それを軽んじるつもりは、まったくありません。
ただ、当院が目指しているのは、そこではありません。
症状という一本の木ではなく、体という森のほうを見ていたい。
遠回りに見えても、そちらのほうが、結局は戻りが少ないと考えています。
施術のあと、だるくなることがあります
森を見る、という話には、地味だけれど大切な一面があります。
癒着が取れて、めぐりが戻りはじめると、たまっていた老廃物が一気に流れ出します。
このとき、体が処理しきれずに、だるくなったり、ぼんやりしたりすることがあります。
これは、悪くなったのではありません。
もともと、めぐりの悪い状態で、少ない血液をやりくりして体は回っていました。
そこへ急に流れが戻ると、こんどは血の量そのものが足りなくなる。
一時的に、そういうことが起こり得るのです。
ですから、当院では、良くなるからといって、一度にあちこちにアプローチすることはしません。
体が処理できる範囲を見ながら、少しずつ進めます。
取れるからといって、全部取ってしまわない。
このさじ加減もまた、森を見るということの一部だと思っています。
血が足りない、という土台
だるくなりやすい方には、ひとつの共通点があります。
もともと、体液や血液の量が少ないのです。
そして、血の量が少ない方は、たいていミネラルが不足しています。
ですから、施術と並んで、土台のほうもお願いすることがあります。
質のよいミネラルや、天然の塩を、ふだんの食事でしっかりとっていただく。
血の量が増えなければ、めぐりを戻しても、体が受けとめきれないからです。
体は、何か一つを変えれば済む、というものではありません。
筋肉も、血液も、めぐりも、食べるものも、すべてがつながって一つの体になっています。
その全体を見ながら、少しずつ整えていく。
これが、のむら整骨院の「全体調和思考」という考え方です。
おわりに
四回にわたって、筋肉と癒着をめぐるお話をしてきました。
揉んでも戻るのはなぜか。
「柔らかい」と「緩んだ」はどう違うのか。
筋肉は、どれだけ多くのことに関わっているのか。
そして、症状が消えることと、体が良くなることは、同じではないということ。
一本の木ではなく、森を見る。
遠回りのようでいて、それがいちばんの近道だと、私は考えています。
その場しのぎではなく、戻りの少ない体へ。
一度、いまの体の状態そのものを見せてください。
どこから整えていくのがよいか、触れて確かめ、ご一緒に考えていきます。
ご予約・ご相談は、お気軽にどうぞ。
のむら整骨院 院長 ![]()




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院長 野村晃生(のむら あきお)
柔道整復師/臨床歴20年以上
自律神経のはたらきを軸に、
身体が安心できる『整える施術』を大切にしています。





