「成長痛だから休むしかない」
本当に、それだけでしょうか?
成長期のお子さんが膝の痛みを訴え、整形外科で
「オスグッドですね。成長期だから落ち着くまで安静に!」
と言われることは少なくありません。
もちろん、痛みが強い時期に無理をすれば悪化します。
でも一方で、オスグッドの痛みは“成長だから仕方ない”で片づけて終わるものでもありません。
オスグッド・シュラッター病(Osgood-Schlatter disease)は、成長期のスポーツ少年に最も多く見られる膝の障害です。
一般的には、「急激な骨の成長に筋肉の発達が追いつかず、膝のお皿の下(脛骨粗面)が引っ張られて剥離・炎症を起こす」と説明されます。
病院では、
「成長痛の一種だから、大人になれば治る」
「しばらく安静にして、バンド(サポーター)で固定しましょう」
と言われることがほとんどです。
しかし、現場では多くの疑問が残ります。
- なぜ、同じ練習量で、同じ体格なのに、痛くなる子と痛くならない子がいるのか?
- なぜ、数ヶ月休んで痛みが引いたはずなのに、復帰した初日にまた激痛が走るのか?
- なぜ、ストレッチを真面目にやっている子ほど、かえって治りが悪いことがあるのか?
のむら整骨院では、これらを「体質」や「根性」、あるいは「成長期だから」という言葉で片付けません。
そこには、最新の解剖学と脳科学に基づいた「治らないのには、明確な理由」が存在するからです。
理由が分かれば、必ず対策があります。
当院が考えるオスグッドの本質は、単なる膝の使いすぎ(Overuse)ではなく、「脳神経系の誤作動」「運動連鎖の不調和」「自律神経の過緊張」という3つのシステムエラーが重なった結果です。
原因①:脳とセンサーの誤作動(α-γ連関の不整合)
〜成長・運動・筋肥大……複雑すぎる変化に、脳の処理が追いつかない〜
オスグッドが長引く最大の原因は、筋肉そのものの硬さよりも、筋肉を制御している「神経システム」の不具合にあります。
1. 成長期のアスリートの体で起きている「マルチタスク」
まず、成長期の体の中で起きている「劇的な変化」を理解する必要があります。
この時期、脳は以下の3つの異なる情報を同時に処理しなければなりません。
- 「骨の急成長(長さの変化)」
特に大腿骨(太ももの骨)や脛骨(すねの骨)は、年間で数センチ単位という猛烈なスピードで伸びます。筋肉もそれに追随して伸びようとしますが、どうしても骨の成長スピードには遅れをとります。この時点で、筋肉には常に「引き伸ばされる張力」がかかり続けています。 - 「動力としての激しい伸縮」
筋肉は静止しているゴム紐ではありません。走る・跳ぶ・止まるといった動作の中で、一瞬のうちに収縮と弛緩を繰り返し、強大なパワーを発揮する「エンジン」です。 - 「筋肥大(太さと出力の変化)」
スポーツをハードに行う子は、トレーニングによって筋線維が太くなり(筋肥大)、発揮できる張力(パワー)も増大しています。
2. センサー(筋紡錘)のキャリブレーション・エラー
筋肉の中には、長さや張力を感知するセンサーである「筋紡錘(きんぼうすい)」が存在します。このセンサーは、常に脳へ筋肉の状態を報告しています。
本来であれば、骨が伸びたり筋肉が太くなったりした際、脳からの指令(γ運動ニューロン)によってセンサーの感度を再調整(キャリブレーション)し、「今は骨が伸びたから、この長さが新しい『正常』だよ」と設定を書き換える必要があります。
しかし、運動負荷が強すぎたり、成長スピードが著しかったりすると、脳はこの複雑な変化を処理しきれず、設定の書き換え(リセット)が追いつかなくなります。
3. 「α-γ連関」の誤作動と防御性収縮
設定更新が間に合わないセンサーは、「筋肉が異常に引き伸ばされている!このままでは切れる!」という誤った緊急信号(Ia群線維からの求心性インパルス)を脊髄へ送り続けます。
脊髄はその信号を真に受け、反射的に「切れないように縮んで守れ!」という強力な収縮命令(伸張反射)を筋肉へ送り返します。
その結果、大腿四頭筋は本人の意思とは無関係に、常にガチガチにロックされた状態(防御性収縮)に陥ります。
これは、「車のシートベルト」と同じ仕組みです。
シートベルトはゆっくり引けば伸びますが、急激に強く引くと「ガチン!」とロックがかかりますよね。

これは体を守るための機能です。
オスグッドの膝でも同じことが起きています。
大腿四頭筋は常に「シートベルトがロックされた状態(防御性収縮)」になり、本人の意思とは無関係に固まってしまっているのです。
筋肉が物理的に硬いのではなく、神経システムがパニックを起こして「守るために固まっている」のです。
この状態で無理に負荷をかけるようなストレッチを行うと、センサーは「さらに伸ばされた!危険だ!」と反応し、より強い収縮を引き起こしてしまいます。
これが、ストレッチで悪化するメカニズムです。
原因②:「4方向の圧迫」+「回旋(ねじれ)」の集中
〜膝は単なる蝶番ではない。逃げ場を失った関節の悲鳴〜
次に、物理的な負担(バイオメカニクス)の視点です。
一般的に、オスグッドは「太ももの前(大腿四頭筋)が縦に引っ張るから痛い」と説明されます。
しかし、それだけでは不十分です。
膝という関節は、実はもっと複雑で精密な動きをしており、その動きが「前後左右・4方向からの締め付け」と、さらに加わる「回旋(ねじれ)」によって負荷が蓄積された時に、オスグッド特有の激痛が生まれるのです。
1. 膝は「曲がる」だけではない。「転がって、滑る」関節
まず、膝関節の本来の動きを知ってください。
多くの人は、膝をドアの蝶番(ちょうつがい)のように「一点を中心にクルッと回る関節」だと思っています。しかし、厳密には違います。
大腿骨(太ももの骨)と脛骨(スネの骨)が接する膝関節は、曲げ伸ばしの際に「転がりながら、スライドする(滑る)」という非常に高度な動きをしています。
例えるなら、車輪が回転しながら、同時にレールの上をスムーズに滑っているような状態です。
この「スライド(滑り)」がスムーズに行われるためには、関節の中にわずかな「あそび(ゆとり)」が必要です。

この「あそび」があるからこそ、私たちは体重を支えながら、滑らかに動くことができるのです。
2. 「4方向」からの筋肉が、膝のあそびを奪う
しかし、オスグッドになる子の膝では、この精密な「スライド機構」がロックされており、本来のスムーズな動きが失われていることが多いのです。
原因は、膝を取り囲む4つの方向からの筋肉が、同時に過緊張を起こし、関節を締め付けているからです。
- 【前方】大腿四頭筋(だいたいしとうきん):
膝を伸ばすメインエンジンですが、ここが硬くなるとお皿(膝蓋骨)を強く押し付け、関節の圧力を高めます。 - 【後方】ハムストリングス:
太ももの裏側にある筋肉です。ここが硬いと、膝を伸ばそうとする動きに対して強力なブレーキ(抵抗)をかけ、関節を後ろから引っ張り込みます。 - 【内側】内転筋群(ないてんきんぐん):
太ももの内側を締める筋肉です。ここが硬くなると、膝を内側へ強く引き寄せ、関節の隙間を埋めてしまいます。 - 【外側】大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん):
内側が引っ張られると、対抗するように外側の筋肉もパンパンに張りつめます。結果、膝は内と外からサンドイッチのように挟み込まれます。
3. そこに加わる「縫工筋」の回旋(ねじれ)ストレス
4方向から圧迫されて「あそび」がなくなった膝に、さらなる負担を強いるのが「縫工筋(ほうこうきん)」です。
- 【回旋】縫工筋の作用:
これは骨盤から膝の内側へ、長いベルトのように「斜め」に走っている筋肉です。 この筋肉は、膝関節を「外旋(外に開く)」させる働きを持っています。
4方向からガチガチに固められた膝に対し、この縫工筋が斜め方向から「強烈なねじり(スパイラル)」を加えます。
4. 「雑巾絞り」のような一点集中
想像してみてください。
前後左右から圧迫されて身動きが取れない膝関節を、さらに斜めから無理にねじっている状態を。
- スライドしない関節の衝突:
「錆びついて動かない引き戸」を無理やり開け閉めするようなものです。滑らない関節を、筋肉の力だけで無理やり動かそうとします。 - 逃げ場のない「ねじれ」:
圧迫された状態で縫工筋の回旋力が加わると、膝の中で「雑巾を絞りながら引っ張る」ような強烈なねじれが発生します。
滑らない関節を、ねじりながら、無理やり動かす。
その強大なエネルギーのしわ寄せは、最終的にすべての力の終着点である「脛骨粗面(膝のお皿の下)」に一点集中してしまうのです。
「膝の下が痛い」というのは、あくまで被害を受けている場所です。

真犯人は、4方向からの圧迫と、縫工筋による回旋が作り出した「構造的なバランス崩壊」にあります。
だからこそ、当院では患部(痛い場所)だけでなく、ねじれや圧迫を作っている原因筋を特定し、膝がスムーズに滑る環境を取り戻すことを重要視しています。
原因③:自律神経(交感神経)の暴走と「酸欠」の悪循環
〜痛みを感じているのは脳。回復のスイッチが入らない「戦闘モード」の正体〜
最後に見落とされがちなのが、最も重要な「治りにくさ」の原因が自律神経です。
「膝の痛みと自律神経、何の関係があるの?」 そう思われるのも無理はありません。
しかし、当院でオスグッドが長引いているお子さんを検査すると、ほぼ100%の確率で「自律神経の過緊張」が見つかります。
これは「気持ちの問題」ではありません。
体の中で起きている、以下の3つの「物理的な生理反応」が、回復をブロックしているのです。
▼ 自律神経について詳しくはこちら

1. 血管の収縮による「筋肉の酸欠(虚血)」
交感神経とは、いわば体の「アクセル」です。
闘争や運動に適した状態を作る神経ですが、これが興奮しすぎると、全身の末梢血管をギュッと収縮させてしまいます。
血管が細くなると、筋肉への血流が悪くなります。
すると、筋肉は「酸欠(虚血状態)」に陥ります。

実は、筋肉は力を入れる時だけでなく、「力を抜く(弛緩する)」ためにも酸素とエネルギー(ATP)が必要です。
血流が止まり、酸素が届かなくなった筋肉は、自力で力を抜くことができなくなります。
つまり、本人がリラックスしているつもりでも、太ももの筋肉は24時間酸欠状態で、「ほどけないロープ」のように硬くなり続けるのです。
2. 「発痛物質」の停滞と、痛みの記憶
血流が悪いということは、老廃物が回収されないということです。
酸欠になった筋肉には、「ブラジキニン」や「プロスタグランジン」といった発痛物質(痛みの素)がどんどん溜まっていきます。
- 血管が閉じる
- 新鮮な酸素が来ない(筋肉が緩めない)
- 発痛物質が流れず、そこに留まる
この悪循環(ペイン・サイクル)に入ってしまうと、いくら湿布を貼っても、外から冷やしても、内側から湧き出る痛み物質がなくならないため、炎症がいつまでも引きません。
3. 脳の「痛みセンサー(閾値)」の誤設定
さらに厄介なのが、脳の感度です。
痛みやストレスが長く続くと、交感神経が高ぶり、脳が過敏になります。
通常なら「痛みレベル1」の刺激(軽く触れる、少し膝を曲げる)であっても、過敏になった脳はそれを「レベル10の激痛だ!」と誤認して増幅させます。
これを痛覚過敏(つうかくかびん)と言います。
「ちょっと動かしただけで痛む」
「腫れは引いているのに、ちょっと膝が床に触れただけで飛び上がるほど痛い」
これは大げさに言っているのではなく、 長期間の痛みのストレスによって、脳内の「痛みのボリュームつまみ」が最大になったまま戻らなくなっているのです。
このような状態になっているため、骨が治っていても、脳が「痛い!」という信号を出し続けてしまうこともあるのです。
だから、「休むだけ」では治らない
練習を休んで膝を使わなくても、この「交感神経のスイッチ(戦闘モード)」が切り替わっていなければ、血管は閉じたまま、筋肉は酸欠のままです。
これでは、1ヶ月休んでも、再開したその日にまた痛くなるのは当然です。
のむら整骨院のアプローチが他と違うのは、膝そのものだけでなく、この「スイッチの切り替え」を行う点にもあります。
呼吸や脊柱(背骨)へのアプローチを通じて、体が自然と「副交感神経(回復モード)」へ切り替わるように誘導します。
血管が開き、酸素が巡り始めれば、脳の痛みセンサーも自然と落ち着いていきます。
そこまでやって初めて、人間の体は「治る」という作業を開始できるのです。
のむら整骨院の「オスグッド専門施術」
ここまでお読みいただければ、なぜ一般的な治療(電気やマッサージ)で一時的に楽になっても、すぐに痛みが戻ってしまうのか?
その理由がお分かりいただけたかと思います。
それは、根本にある「システムエラー(神経の誤作動・構造の乱れ・自律神経のロック)」が解除されていないからです。
当院の施術の目的は、硬くなった筋肉を物理的に「ほぐす」ことではありません。
誤作動を起こしている制御システムを「正常な設定に戻す」ことです。
体が本来持っている回復システムを再起動させ、痛みが出る原因そのものを根本から解消します。
STEP 1:神経系のリセット(α-γ連関の再設定)
〜「ロックされたシートベルト」を解除する〜
最初に行うのは、筋肉そのものではなく、筋肉を支配している「センサー(筋紡錘)」へのアプローチです。
過敏になって「縮め!」という信号(Ia群線維からの異常インパルス)を出し続けている神経に対し、独自の調整手技で「もう緊張しなくても大丈夫だよ」という情報を送ります。
これにより、脳が設定している筋肉の長さが「リセット(再設定)」されます。
- 防御性収縮の解除: 無意識に入っていた「力み」が抜け、ガチガチだった大腿四頭筋が、内側からフワッと緩む状態を作ります。
- 牽引力の消失: 筋肉が本来の長さを取り戻すため、膝のお皿の下(脛骨粗面)にかかっていた強力な引っ張り力が、その場で消失・軽減します。
STEP 2:運動連鎖と「スライド機構」の修正
〜4方向の圧迫と「ねじれ」を解き、膝を滑らかにする〜
次に、膝関節を物理的にロックしている「4方向からの締め付け」と、縫工筋による「回旋(スパイラル)」を解除します。
- 4方向の圧迫をリリース:
膝を前後左右から押し潰している大腿四頭筋(前)、ハムストリングス(後)、内転筋(内)、大腿筋膜張筋(外)の過緊張を緩め、関節への圧力を抜きます。 - 縫工筋の「ねじれ」を解除:
さらに、骨盤から斜めに走る縫工筋の緊張を取り除き、膝にかかる強烈な回旋ストレス(雑巾絞りの力)を解消します。 - スライド機構の復活:
圧迫とねじれが取れると、関節の中に「あそび(ゆとり)」が生まれます。これにより、失われていた「転がって、スライドする」という膝本来の精密な動きが復活します。 - 足首(土台)の再構築:
最後に、距骨(きょこつ)や踵骨(しょうこつ)のアライメントを調整し、着地の衝撃を足首で吸収できる状態に戻します。
STEP 3:自律神経と脳の調整
〜「酸欠」を解消し、脳の痛み記憶を書き換える〜
最後は、全身のシステム調整です。
理想的な呼吸への誘導や、自律神経の通り道である脊柱(背骨)・骨盤への繊細なアプローチを行います。
- 「酸欠」からの脱却:
交感神経の興奮を鎮めることで、収縮していた血管を開きます。新鮮な酸素が筋肉に巡り始めると、溜まっていた発痛物質が流れ出し、筋肉は自力で「緩む」ことができるようになります。 - 脳の鎮静化:
体が「回復モード(副交感神経優位)」に入ると、過敏になっていた脳の痛みセンサーも落ち着きを取り戻します。「触れるだけで痛い」という脳の誤認(痛覚過敏)を解除し、「治癒が始まっている」という正しい認識へ導きます。
オスグッドは必ず改善します
オスグッドは「成長が終わるまで我慢するしかない病気」ではありません。
膝だけを見るのではなく、膝に負担が集まる原因を、体全体から整える。
成長期という特殊な環境下で、「神経の誤作動」「物理的なねじれ」「自律神経の興奮」というパズルが複雑に絡み合った結果にすぎません。
これらを一つひとつ丁寧に紐解いていけば、骨の成長が止まるのを待たなくても、痛みなく全力でプレーすることは十分に可能です。
「もう何ヶ月も痛い」「サポーターがないと不安だ」 そんな悩みを持つ選手、そして親御様。
一度、膝の下だけでなく、全身のシステムを見直してみませんか?
のむら整骨院が、その解決の糸口になります。
のむら整骨院 院長 ![]()
“病院医学”では紐解けない
痛みの正体を調律する『特別な整骨院』
完全予約制|受付 10:00〜17:00(最終受付)|お電話は18:00頃まで(留守電OK・折り返します)
検査で「異常なし」でも、つらさは本物
自律神経の乱れを
体の反応から読み解く整骨院

院長 野村晃生(のむら あきお)
柔道整復師/臨床歴20年以上
自律神経のはたらきを軸に、
身体が安心できる『整える施術』を大切にしています。





