なぜ、「お茶」ではなく「水」が必要なのか?
体調を崩したとき、あるいは自律神経のバランスを整えようとするとき、
私は必ず「まず、水を飲んでください」とお伝えしています。
「お茶ではダメですか?」
「コーヒーも水分ですよね?」
よくいただく質問ですが、私が「水(H2O)」にこだわるのには、精神論ではない明確な理由があります。
それは、弱っている身体にとって、最も「コスト」がかからない選択だからです。
この記事では、腎臓の知られざる働きと、水が身体の回復を助けるメカニズムについて、解剖生理学の視点から紐解いていきます。
1. 水は「処理しなくていい」唯一の基礎素材
体調が優れないとき、私たちの身体のエネルギーは「回復(治癒)」のために使われるべきです。
しかし、口にするものによっては、その貴重なエネルギーが「処理(消化・解毒)」に奪われてしまうことがあります。
お茶やコーヒーにかかる「見えないコスト」
お茶やコーヒー、ジュースには、水分以外に様々な成分が含まれています。
- カフェイン
- タンニン
- 糖分
- 香料
- 添加物
これらは決して「悪者」ではありません。元気なときは、楽しみやリラックスとして素晴らしい役割を果たします。
しかし、身体の視点から見ると、これらは「不純物が混ざった液体」です。
吸収する前に、肝臓や腎臓を働かせて、成分を分解したり、分けたり、刺激を調整したりする「処理コスト」が発生します。
水は「右から左へ」使える
一方で、純粋な水(H2O)はどうでしょうか。
そこには分解すべき複雑な成分がありません。
身体に入ってきた瞬間、余計な処理を挟まずに、そのまま血液となり、細胞の潤いとなり、循環の輪に入ることができます。
回復期に必要なのは、身体が「守り」や「処理」にエネルギーを奪われることなく、
「巡らせる」「温める」「排出する」へ全力投球できる状態です。
だからこそ、私は「まずは、水」と、お伝えしています。
それは、疲弊した内臓への「優しさ」なのです。
2. 腎臓の仕事は「尿」だけじゃない
次に、「腎臓」という臓器について少し見方を変えてみましょう。
多くの人は「腎臓=オシッコを作る工場」だと思っています。
間違いではありませんが、それは役割のほんの一部です。
腎臓の真の姿は、体内の環境を一定に保つための「超高性能な調整タワー」です。
腎臓が担っている4つの調整
- 水分量の調整(体に水をどれくらい残し、どれくらい捨てるか)
- 塩分バランスの調整(ナトリウムなどの電解質濃度を一定に保つ)
- 血圧・循環の安定(ホルモンを出して血圧をコントロールする)
- 老廃物の排出(血液をろ過して掃除する)
つまり、腎臓はただ排水しているのではなく、
「今の身体にとって、最適な水分と塩分のバランスはどこか?」
を24時間監視し、ミリ単位で調整している「司令塔」なのです。
この司令塔が正しく働くためには、スムーズに流れる「きれいな水」が必要です。
ドロドロの液体や、処理が必要な液体ばかりが流れてくると、司令塔は疲弊し、調整機能が鈍ってしまいます。
3. 水が足りないと、身体は「溜め込む」モードに入る
「水を飲むと、むくむから嫌だ」
そう考える方は非常に多いです。
しかし、身体のメカニズムとしては、逆のことが起きているケースが多々あります。
砂漠の論理(サバイバルモード)
身体にとって、水は命そのものです。
もし、あなたが入ってくる水の量を極端に減らしたら、身体はどう判断するでしょうか?
「水が入ってこない! 緊急事態だ!」
「今ある水を絶対に逃がすな! 溜め込め!」
そう、身体は「排出」をストップし、古い水を体内に滞留させてでも生き延びようとします。
これが、水不足によるむくみの正体です。
このとき、身体の中では次のような不調が起こりやすくなります。
- なんとなく体が重い
- だるさが抜けない
- 頭がすっきりしない
- 手足がパンパンになる
これは、身体が悪いわけではありません。
水不足という危機に対して、「溜め込んで守る」という防衛反応が正常に働いているだけです。
このロック(防衛)を解除する方法は一つだけ。
「新鮮な水はちゃんと入ってくるよ」と身体に教えてあげることです。
適量の水がコンスタントに入ってくれば、腎臓は安心して「では、古い水は捨てましょう」と排出のスイッチを入れることができます。
これが、巡りの再起動です。
4. 循環とは「血液」だけの話ではない
「循環を良くする」というと、血液サラサラをイメージしがちですが、身体の水分循環はもっと壮大なシステムです。
- リンパ液: 老廃物を回収する下水道のような役割
- 組織液: 細胞一つひとつを浸している海のような役割
- 粘膜の潤い: ウイルスなどの外敵から身を守るバリア
- 体温調整: 汗や血流で熱を運ぶ役割
これらすべてが「水」を媒体として機能しています。
回復期に水が必要なのは、単に喉の渇きを潤すためではありません。
身体が治ろうとするための「現場のインフラ(道路や運河)」を整えるためです。
インフラが整っていない(水が足りない・汚れている)状態で、いくら良い薬やサプリメントを入れても、現場には届きません。
まずは、道を通すこと。
それが「水を飲む」ことの本質です。
5. 「飲めば飲むほど良い」ではない
ここまで水の重要性をお話ししましたが、一つだけ注意点があります。
「水は、多ければ多いほど良い」というわけではありません。
健康法でよく「1日2リットル」と言われますが、これはあくまで目安です。
体格、運動量、腎臓の処理能力によって、適量は一人ひとり全く異なります。
処理能力を超えてガブガブ飲めば、逆に「水毒(すいどく)」と呼ばれる不調や、胃腸の冷えを招くこともあります。
目安は「身体の声」を聞くこと
数字(リットル)ではなく、身体の反応を指標にしてください。
- 飲んだあと、お腹がチャポチャポしないか?
- 尿の色は濃すぎず、薄すぎないか?(薄いレモン色が理想)
- だるさが軽くなっている感覚があるか?
身体が「巡りやすくなった」と感じる量が、今のあなたの適量です。
無理をして飲む必要はありません。
※心臓や腎臓の疾患で医師から水分制限を受けている方は、必ず医師の指示に従ってください。
まとめ:水は「整う」ための基礎素材
水は、身体が処理の負担を感じずに使える「基礎素材」です。
そして腎臓は、その水を使って体内の環境を一定に保つ「精密な調整役」です。
回復を早めたいなら、まずは余計な負担をかけず、身体が使いやすい水を届けてあげること。
そこが整うと、呼吸・睡眠・自律神経といった他の機能も、連動して整いやすくなります。
「たかが水」と思わず、今日の一杯を意識してみてください。
その透明な液体が、あなたの身体の「流れ」を変える最初の一歩になります。
実際に「どう飲めばいいのか(量よりリズム)」については、こちらの記事で詳しく解説しています。
よくあるご質問(FAQ)
- お茶やコーヒーは全部ダメですか?
-
いいえ、ダメではありません。体調が安定しているときは、リラックス効果も含めて楽しんでください。ただ、身体が弱っている「回復期」には、負担の少ない「水」をメインにして土台を作るのがおすすめです。
- むくむのが怖くて水が飲めません。
-
お気持ちは分かりますが、「むくみ=水を減らす」という対策が逆効果(溜め込みモード)になっているケースがあります。一気に飲むのではなく、一口ずつ「こまめに」飲むことから始めて、身体の反応を見てみてください。
- 一気に飲むのは良くないですか?
-
A. はい。一気飲みは胃腸に負担をかけ、腎臓の処理も追いつかなくなります。身体に浸透させるように、少量を回数多く飲むのが基本です。
- 冷たい水でもいいですか?
-
自律神経が乱れている方や、冷えやすい方は、内臓を冷やさない「常温」か「白湯」が合いやすいです。ご自身が飲んで「ホッとする温度」を選んでください。
その不調、日常ケアだけで追いついていますか?
「水を意識しているのに、なかなか整わない」
「むくみやだるさが、ずっと続いている」
もしそう感じているなら、身体の「構造的な詰まり」が循環を妨げている可能性があります。
のむら整骨院では、水が流れるためのインフラである「呼吸・胸郭・姿勢」の緊張を解き、身体が自然と巡りだす条件を整えていきます。
まずは一度、あなたのお身体の状態を見せてください。
のむら整骨院 院長 ![]()
“病院医学”では紐解けない
痛みの正体を調律する『特別な整骨院』
完全予約制|受付 10:00〜17:00(最終受付)|お電話は18:00頃まで(留守電OK・折り返します)
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自律神経の乱れを
体の反応から読み解く整骨院

院長 野村晃生(のむら あきお)
柔道整復師/臨床歴20年以上
自律神経のはたらきを軸に、
身体が安心できる『整える施術』を大切にしています。



